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伊東マンショの肖像画 [博物館]

今日は暑さが真夏並みでした。夜も気温があまり下がらず今夏初の熱帯夜予報とか[たらーっ(汗)]
暑さに体が慣れていないせいか、週末ごとにあちこちうろちょろして疲れが溜まっているのかちょっと微熱っぽくてぼーーっとしていたい1日でした。
先週作っていたメガネが出来たので近所のメガネ屋にだけは行きましたが。


昨日は折角トーハクまで足を運んだので、御仏だけではなく他の展示物も見てきました。
まずは今月10日まで公開されている「伊東マンショの肖像」
Mancio.jpg


んーーー、伊東マンショ。
何か子供の頃に歴史で習った、習った。千々石ミゲルとか何とかマルチノとか何とかジュリアンとか、海外に行った少年使節団。

…と磨り減った脳細胞ではその位しか覚えていなかったので、改めて調べ直してみました。



イエズス会がキリスト教を日本に布教させる目的で巡察師アレッサンドロ・ヴァリニャーノを派遣。前任者が日本で次世代の司祭育成などに力を入れていなかったため、邦人司祭の育成などを目的とし「大友宗鱗」ら3名のキリシタン大名の名代として13歳~14歳の少年4人を天正遣欧少年使節としてローマへ派遣。
この時選ばれたのがセミナリヨ(小神学校)で学んでいた 伊東マンショ、千々石ミゲル、原マルティノ、中浦ジュリアン。
4人はマカオ、インド、ポルトガル、スペインなどに立ち寄りつつ、およそ3年かけてローマに到着し8年後に日本へ帰国するのですが、帰国前に4人を名代として送りだした大名の内「大友宗鱗」「大村純忠」は病死。
そして帰国するのとほぼ同時期に豊臣秀吉が発布した「バテレン追放令」により、その後の4人の人生は決して順風満帆とは言えないものになったようです。


そんな天正遣欧少年使節のリーダー的存在「伊東マンショ」の肖像画がイタリアで発見されたのが2年前。
使節団が到着する少し前のヴェネツィアでの元老院では大火災があり、元老院を飾っていた宗教画が殆ど焼けてしまったため、新たに飾られる絵画が作成されていました。そこへやってきたのは遠い日本からやってきた少年使節団。
そこで元老院がヤコポ・ティントレットに4人の肖像画製作を依頼したのですが、結局この肖像画は完成する事はなく、その後ヤコポの息子ドメニコの手により切り詰められて加筆され、伊東マンショの肖像画として残されたのだろうとの事でした。
Mancio2.jpg



そしてもう1点。「聖母像(親指のマリア)」
Maria.jpg
Maria2.jpg


キリシタン追放令が出てからも日本にはこっそりと宣教師たちが入国していました。
この「親指のマリア」もそんな司祭の一人、ジョバンニ・バティスタ・シドッチが携行したもの。
銅板に油彩で描かれたものらしいのですが、油彩と言うよりもテンペラ画ではないかと思う程滑らかな筆致です。

「長崎奉行所旧蔵」とありますが、遠く離れた海外にまで携行してきたマリア像が何故長崎に残されたのか、シドッチ司祭のその後が気になって調べてみると

最初屋久島に到着したシドッチ司祭。頭を月代に剃り、日本人に化けて入国しようとしようとしますが、地元の百姓に見つかり長崎に護送されてしまいます。
そこで新井白石に尋問を受けるも、白石はシドッチの人格と学識に感嘆し「国内で布教活動をしないこと」を約束させた上で江戸・小石川にあった切支丹屋敷に軟禁させます。
軟禁とは言えだいぶ繫束はユルいもので、身の回りの世話は長助とはるの日本人夫婦に任せ、二十両五人扶持を与えられると言う破格の扱いでの軟禁でしたが、親がキリシタンだった長助とはるがシドッチに感化されて洗礼を受け、木製の十字架をこっそり隠し持っていた事がバレてしまい、3人は屋敷内の地下牢へ監禁されてしまうことに。
シドッチは10ヶ月後に衰弱死してしまうのですが、2014年切支丹屋敷跡にマンションが建設されるため発掘調査を行ったところ、地下から3体の人骨が出て来たそうです。
その内1体は国立科学博物館でDNA鑑定した結果イタリア人のDNAタイプと一致したとの事で、今年の4月に「ほぼシドッチ司祭の遺骨で間違いない」と判定されたと。


監禁された挙げ句の衰弱死だったのですが、シドッチ司祭の遺体はほぼキリスト教の埋葬方法に則って行われていたそうで禁教下ではあっても最期は敬意を払って埋葬されたのでしょうか。
残る2体も丁寧に埋葬されていたそうですが、DNA鑑定で1体は日本人の男性、もう1体はDNAからは判らなかったもののお歯黒の痕が残っており骨格も華奢な事から女性と見られているそうで、長助・はる夫妻だったのではないかと思われます。



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