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ミラクル エッシャー展@上野の森美術館 [美術館]

関東地方、6/29に梅雨明けしてから真夏並みの暑さが到来。
今週始めには早くもセミの鳴き声がしだしたかと思ったら、週末近くには雨模様に逆戻りして気温も一気に下がり、そしてまたすぐに暑くなる、というめまぐるしく気温が変わった1週間でした(*゚Д゚)

今日は千葉市美術館へ「岡本神草の時代展」を開催期間ギリのところで駆け込み鑑賞してきましたが、その前に先週末(6/29)、梅雨明け直後に上野の森美術館で見て来た「ミラクル エッシャー展」のうろちょろネタをば。
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エッシャー展、非常に人気があるようでして。
前の週の土曜日も上野に出掛けていたのですが、開館前の朝一の時点でもチケット購入で2~30分、入館するのに50分ほど並ばなくてはいけないような混雑っぷり(;´Д`)[あせあせ(飛び散る汗)]
土日は到底無理そうなので、金曜日仕事を少し早めに切り上げて16時頃に美術館へ到着しました。
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入館待ちの列は無かったので、これならゆっくり見れるかと思いきや、荷物預け用のコインロッカーが既にギッシリでほぼ空き無し…。
案の定、館内はぎっしり入館者で埋まっていましたですよ(;´∀`)
上野の森美術館はそれほど広い造りの美術館じゃないので仕方ないと言えば仕方ないのですが、入口から小作品がずらりと展示されていたら、そりゃ流れも滞って入口付近に入館者の渋滞も出来てしまうだろうさ、と[たらーっ(汗)]

でもオーディオガイドを借りた時は逆にそれなりに混雑している時の方が見やすいのかもしれません。
今回は時間的に余裕があったからじっくり見るつもりでオーディオガイドを借りたのですが、列がゆっくりとしか動かないので心置きなくガイド終わるまで作品の前にいられるというか(;´∀`)
(特にエッシャーの作品はじっくり見ないと細かいところまで判りにくいものも多かったので)


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M.C.エッシャーことマウリッツ・コルネリス・エッシャー(1898~1979年)
オランダの画家(版画家)です。

エッシャーと言えば、こんな感じの錯視を利用した騙し絵(トロンプ・ルイユ)的な作品とか
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こんな感じのメタモルフォーゼ的な作品ばかりを描く画家かと思っていました。
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今はもう無くなってしまったのですが、かつて長崎のハウステンボスに「ミステリアス・エッシャー」というアトラクションがありました。
ハウステンボスは友人の雉猫さんと一緒に3回程行った事があるのですが、行った時は必ず見てくる、という程結構お気に入りのアトラクションでして。
エッシャーのだまし絵作品が描かれたパネルなどが館内に展示されていて、じっくりと1点1点鑑賞していたいのにその後に控えている3Dシアター内に案内されてしまうという[たらーっ(汗)](3Dシアターは女の子が飼っている仔犬の病気を治す為に『永遠の泉』(←エッシャーの滝)を探すという内容で、1回見たらもういいや、という感じ)
シアター前の騙し絵作品だけを見たいがために、出てからもう一度アトラクション内へ入る、ということもしてましたっけ(;´∀`)


そんな事もあり、私の中では断然「エッシャー=騙し絵」なイメージだったのですが、初期の頃の作品は風景や静物、聖書からのモチーフなど木版画やリノカット版画(リノリウムを彫って版面にする版画)が展示されていました。
エッシャー6.jpg
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騙し絵の片鱗が出ている木版画もあり。
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…ん?待てよ、版画?
木版画と言えば日本ならまず浮世絵とかになるのでしょうが、あれは絵師は元の図案を描いて色など摺りの指定をするだけで、彫るのと摺るのは名前も知られていない彫り師と摺り師の手によるものです。
エッシャーもやっぱり原画だけ描いていたのかな、と疑問に思ったのですが、エッシャーは彫りも摺りも全て自分で行っていたんだとか(会場には1点だけ外部の工房で彫りが行われた作品がありました)。


また版画の手法も色々と試していた様で、どう見ても木版画とは思えない程緻密な作品とか
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(日本の版木を柾目(年輪に対し垂直方向)で使用する浮世絵とは異なり、木目(木口:年輪に対し平行)版木を使用していたのでより細かい彫りが出来るとは言え…)

リトグラフや
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メゾティント技法による作品はもはやどうやって版面を作ったのか判らない程の精密さです。
エッシャー11.jpg


実生活では26才の時に旅行先で出会ったイエッタ・ウミカーと結婚。3人の子供にも恵まれ、毎年の様にスケッチ旅行に出掛け、と一見順風満帆でリア充なエッシャーですが、実は版画作品は殆ど売れず、本の蔵書票デザインなどで細々と小銭を稼ぎながら、日々の暮らしに要するお金は自分と妻の実家に援助してもらう、という相当ダメダメな生活を送っていた様です(妻イエッタの実家が裕福な家庭だったことも良かったのか悪かったのか…)
騙し絵やメタモルフォーゼなどの作品も世間になかなか受け入れられず、エッシャーの父親は息子が壁紙のデザインをしているのではないかと思っていたそうで[たらーっ(汗)]

1950年代初頭にアメリカのTIMEやLIFEでエッシャー作品が取り上げられるとエッシャー人気は一気に高まりようやく安定した収入がある生活になるのですが、その頃エッシャーは既に51才。
50過ぎまでほぼ実家&妻実家からの援助暮らし…(>_<)

晩年のエッシャーは癌が再発して何度も手術を繰り返します。妻イエッタも愛想を付かしてしまったのか次男のいるスイスへ引っ越し。
エッシャーは1人オランダに残り、芸術科のための養老院で2年間の闘病後亡くなりました。
もう少し世間に早く認めて貰えていれば、と思う反面、困窮した状態だからこそあの不思議な世界観も生まれたのかもしれないな、と思いつつ。


ハウステンボスのミステリアスエッシャー、別の形で復活しないかなぁ…。




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☆ミルキーウェイ☆

本当に、すごく精密な作品の数々ですね。
これなら人気なのも納得です。
by ☆ミルキーウェイ☆ (2018-07-08 02:17) 

そらそら

エッシャーという名前を知らなくても騙し絵的な作品を見せれば「あ、知っている」という人も多いのですよね。
逆に騙し絵以外の作品を見せてもエッシャー作品とわかるかどうか、というくらい錯視絵としての地位が高い画家かと。
もっとも私が子供の頃は錯視絵なら安野光雅さんだと思っていました。
安野光雅さんはエッシャー作品に感銘を受けて錯視絵を描いていた方ので、錯視絵画家としてはもちろんエッシャーの方が先達なのですが、当時は子供向けのエッシャーの本などなかったので。
トリックアート的な作品は年代に限らず人気が高いですよね。美術館も金曜夕方なのに結構親子連れで鑑賞している人が多かったです。
by そらそら (2018-07-08 11:41) 

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