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2018年夏 猛暑旅【新版画展 美しき日本の風景】美術館「えき」KYOTO [美術館]

週始めにやってきた今年最大級の台風21号チェービー。
首都圏は完全に進行ルートから完全に外れていたので、少し風が強い程度で済むかと思いきや、仕事帰りの電車が強風の影響で一時止まってしまうアクシデントが。
とは言え、1時間ちょい程の遅れで無事に帰ってくる事が出来たのでまだ良かった方だったのでしょう。後輩は少しだけ早めに帰ったものの、既に電車が完全に止まってしまった後。帰り着いたのは会社出てから5時間半後だったそうです。
進行ルートからだいぶ離れた関東でもこんな感じだったのですから、直撃だった場所がどれほどの威力だったかを考えるとぞっとしてしまいます。
そして台風の話題が落ち着かないうちに北海道での大地震。
停電も復旧しつつあるとは言え、インフラや物流で困らない程度の生活に戻るにはまだ当分時間がかかってしまうでしょう。
何かしたいとは思いつつ、自分に出来そうなのはせいぜい一日も早い復旧を祈りつつ支援募金をする位。
本当に何処の被災地も一日も早く復旧することが出来ます様に。




さて京都猛暑旅(7/21~7/23)の最終回。
下鴨神社を出て、時間的に余裕があったのでバスで京都駅へ向かいます。
平日の14時過ぎ頃だったので、いつもは混雑している駅前付近の通りもまだ空いているだろうと思っていたのですが、京都駅へ着いたのは既に15時近くでした(ダイヤ通りに走っても下鴨神社から京都駅まではバスで35~40分かかります)。
駅構内にある京都伊勢丹に入り、階上を目指します。

マールブランシュのジェイアール京都伊勢丹6Fサロン店でお茶でもして行きたかったのですが、サロン店前には1時間以上は待ちそうな大行列が(;´Д`)[たらーっ(汗)]
寄り道していると一番最後の目的を見損ねそうなので、諦めて7Fへ。
ここには伊勢丹に隣接した美術館「えき」KYOTOがあります。
休館日はジェイアール京都伊勢丹の休日に準じているので、普通の美術館が休館している月曜日でも観覧OK。

行った時はちょうど「新版画展 美しき日本の風景」が開催されていました。
新版画フライヤー.jpg

川瀬巴水、好きなんですよねーー。
新版画1.JPG
新版画2.JPG
入場料は800円でしたが、交通ICカードで支払いしたら割引料金の700円で入る事が出来ました。



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江戸時代に庶民の娯楽として大量に摺られた浮世絵版画。
とは言え、浮世絵で摺れる枚数は初摺で200枚前後。後摺で再販を重ねても多くて数千枚程度が限界(葛飾北斎の「神奈川沖浪裏(かながわおきなみうら)」が一番多く摺られた版画ではないかと言われています)
明治30年代頃になると近代化の波に乗って浸透してきた写真や石版画に圧されて、浮世絵版画はすっかり下火になってしまうのですが、同時期に新しい形式の版画を作ろうという動きも徐々に始まりつつありました。
明治40年頃には海外向けに浮世絵版画を輸出していた浮世絵商の渡辺庄三郎氏がオーストラリアの画家フリッツ・カペラリの水彩画展を見て、これを原画にして錦絵版画としてはどうかと思いつきカペラリ自身と交渉。見事版権を獲得し、西洋画のテイストを持つ錦絵を10点ほど試作したのが「新版画」と言われる新形態の版画の始まりなんだそうで。


「新版画」も江戸時代の浮世絵と同じく、絵師、彫師、摺師と分業制で制作されましたが、中には原画、彫り、摺り共に1人で制作されたものもありました(Wikiによれば、全ての工程を1人で制作した版画は「創作版画」として「新版画」とは別に分類分けされているようです)


今回の企画展のメインとなっている川瀬巴水吉田博は大正時代になってから渡辺庄三郎と知り合います。
巴水はもともと鏑木清方の門下生。
日本画家を目指して25歳で清方に弟子入りをするも年齢を理由に断られてしまい、洋画家に転身するも洋画も合わず、再度清方に弟子入りして日本画家になっていたのですが、師匠の清方が得意としていた美人画で自分の才能に行き詰まり新版画の世界へ再度転身。
風景を題材とした作品を多く描き、後に「昭和の広重」と称される程の腕になります。

川瀬巴水 東京二十景「池上市之倉(夕陽)」
川瀬巴水-池上市之倉(夕陽).jpg

川瀬巴水 東京二十景「桜田門」
川瀬巴水-桜田門.jpg


川瀬巴水 元箱根見南山荘風景(5) つつじ庭に遊ぶ二美人
川瀬巴水-二美人.jpg
この題材になった場所は箱根の山の上ホテル内にある庭園ですね。

川瀬巴水 大宮見沼川
川瀬巴水-大宮見沼川.jpg
おぉ、京都の美術館で地元の大宮を題材とした作品が見られるとは(笑)
昭和初期の大宮はまだこんなにのどかな農村地区だったんですね。


吉田博は元は洋画家 小山正太郎の門下生で自身は水彩画を得意とし、他の門下生からは「絵の鬼」と呼ばれるほど研鑽を積みます。
二度の渡米、渡欧経験の間に、ボストン美術館で開催した2人展の成功、パリ万博での褒状など海外では既に経歴を重ねていましたが、渡辺庄三郎と出会い新版画の道へ。
しかし関東大震災で全ての版木と木版画を失ってしまいます。
その後三度目の渡米の際、渡辺木版画舗で制作した新版画を持参していったところ非常に評判が良く、また当時のアメリカでは粗悪な浮世絵が高額で取引されている事を日本人として恥ずかしく思い、日本に戻って来てからはより一層技術の高い新版画作品に取り組む様になります。


吉田博  東京十二題 平河橋
吉田博-東京十二題平河橋.jpg

吉田博  東京十二題 亀井戸
吉田博-東京十二題亀井戸.jpg
吉田博の東京十二題の中では亀戸天神の藤と太鼓橋を描いたこの作品が好きなのですが、今回の展覧会では出品無くてちょっと残念[たらーっ(汗)]



もちろん江戸時代の浮世絵版画も好きなのですが新版画にも心惹かれてしまうのは、知らない時代の風景なのに今まで何処かで見てきた風景と重なってノスタルジーを感じてしまうからなんでしょうね。
現在の風景と比べて見るのもまた一興。


笠松紫浪 浅草観音堂大提灯
笠松紫浪-浅草寺.jpg

笠松紫浪  春の夜 銀座
笠松紫浪-春の夜銀座.jpg

笠松紫浪-春の夜銀座2.jpg



新版画は初版でもどうにか手が届くので、いつか1枚だけでも部屋に飾ってみたいものです。
展覧会の図録は買って来なかったのですが、今から思えば買っておくんだったなー(>_<)[あせあせ(飛び散る汗)]

新版画の世界を堪能した後は伊勢丹の地下でお土産と夕飯代わりのお弁当を買い込み、帰途に着いたのでした。



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