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奇想の系譜展−江戸絵画ミラクルワールド−@東京都美術館 [美術館]

今日は久しぶりに映画館へ。「メリー・ポピンズ リターンズ」を見てきました。
てっきり1964年度版のディズニー作品リメイクかと思ったら続編だったという…(;´∀`)

1964年度版のジュリー・アンドリュース主演の「メリー・ポピンズ」と、その映画制作に至るまでの原作者P.L.トラヴァースとウォルト・ディズニーとの関係性を映画化した「ウォルト・ディズニーの約束」を見ていたので、今回もメリーポピンズ繋がりで見に行った訳なのですが、個人的にはなかなか良い出来だったと思います。きちんと前作の伏線を拾っている内容も良かったですし。
ただ曲中歌などはやはり前作のシャーマン兄弟が手掛けたものが最高過ぎて、今作はちょっとだけ残念めでしたけど[たらーっ(汗)]
これからこの映画を見に行くよ、と言う方がいましたら、少なくとも1964年度版メリー・ポピンズを見てから行かれるのをオススメします。



先週末の金曜日(2/15)は東京都美術館へ「奇想の系譜展−江戸絵画ミラクルワールド−」を見に出掛けてきました。
奇想1.JPG
だいぶ陽が伸びて来たとは言え、美術館へ着く頃には既に真っ暗…(;´∀`)



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「奇想の系譜」って同タイトルの書籍があるよね、と思っていたのですが、やはりその書籍をベースにした展覧会でした。

辻 惟雄氏が「奇想の系譜」の初版を刊行したのは昭和45年(1970年)
この書籍で取り上げられた江戸時代の絵師は伊藤若冲、長沢芦雪、歌川国芳、曾我蕭白など、今でこそ有名な絵師が多いのですが、当時有名だったのは葛飾北斎や円山応挙、歌川広重、俵屋宗達、狩野永徳など美術の教科書のお手本になるような絵師たち。
明治以降から昭和時代頃までは若冲や蕭白などの作品はほぼイロモノ、ゲテモノ扱いだった訳です。
(私が若冲を知った平成の初期頃になってもまだ「若冲?誰、それ?」状態でしたからね(;´∀`))

2000年代になってようやく再評価されだした奇想の絵師たち。
今回の特別展では「奇想の系譜」に書かれた岩佐又兵衛、狩野山雪、伊藤若冲、曾我蕭白、長沢蘆雪、歌川国芳の6人に加え、白隠慧鶴、鈴木其一の8人に焦点を当てた内容になっております。
奇想2.JPG


まずは皆んな大好き伊藤若冲
今回の目玉はこの展覧会を開催するにあたり、調査過程で発見された初出品作品でしょう。
中でも若冲がまだ30代で青物問屋を経営していた頃に描かれたと思われる初期作品は貴重。
「梔子雄鶏図(くちなしおんどりず)」
奇想-伊藤若冲2.jpg
昭和2年(1927年)まで京都の東本願寺大谷家で所蔵されていたもので、その後売りに出されて以来行方不明となっており、今回90年ぶりに陽の目を見た作品です。


これも初出品「石榴雄鶏図(ざくろおんどりず)」
奇想-伊藤若冲1.jpg
(個人的にはこの絵はちょっと真贋疑わしいと思っていますが(;´∀`)[たらーっ(汗)]

もう一作品、最晩年に描かれたと思われる六曲一双の「鶏図押絵貼屏風」が初出品でした。
…初出品作品以外は、宮内庁三の丸尚蔵館、細見美術館、プライスコレクション、MIHO MUSEUM所蔵からの出品が多めだったのでほぼほぼ見た事あるわ(;´∀`)


お次は曾我蕭白
個人的に気に入ったのは「唐獅子図」
奇想-曾我蕭白1.jpg
勢いがあって勇ましいのか、それともユルいのか。いや、ユル勇ましい(?)唐獅子(笑)
唐獅子というよりは猫のようにも見えます(*´ω`*)



続いて長沢芦雪ーーーー[黒ハート]
奇想-長澤芦雪2.jpg
プライスコレクションからはおなじみの「白象黒牛図屏風」
一昨年の秋、愛知県美術館に日帰りで見に行った「長沢芦雪展 京のエンターテイナー」で見て以来です(*´ω`*)

巨大な黒牛の前にちょこんと座る応挙風の仔犬はミュージアムグッズでも大人気でした。
奇想-長澤芦雪3.jpg
(当然図録以外にも色々と買い込んで来ちゃいました[たらーっ(汗)] 別記事で書ければ書きます)


そして芦雪も今回の調査過程で発見された初出品作品が。
「猿猴弄柿図(えんこうろうしず)」
奇想-長澤芦雪1.jpg
こちらは約百年ぶりに存在を確認できた作品だそうです。


芦雪晩年の作品「方寸五百羅漢図」も展示されていましたが、拡大写真も無く、原寸大のまま展示されていたのはちょっとどうかと…(;´Д`)
奇想-長澤芦雪4.jpg
何せ実物は一辺が僅か3.1cmの紙に描かれている小さな作品なのに、更に展示ガラスで遮られ、近づいて見ようにも、って感じなので[たらーっ(汗)]


お次は岩佐又兵衛
前期から展示予定の「妖怪退治図屏風」
奇想-岩佐又兵衛1.jpg
都合により、2/19(火)からの展示となっていて見られませんでした。
行った時は「山中常盤物語絵巻 第四巻」の展示がありましたが、源義経の母親「常盤御前」が山中の宿で賊に襲われて殺されるという場面を描いているため、会場内には一応「残酷な場面があります」との注意表示有り[たらーっ(汗)]
「山中常盤物語絵巻」はMOA美術館が所有する作品なのですが、年末出掛けたときは展示されていませんでした(多分年始近かったので展示していなかったのかと思われ)
4年前に全12巻が3年ぶりに揃ってMOA美術館の企画展で公開されていたみたいです。


狩野山雪の「梅花遊禽図襖絵」
奇想-狩野山雪1.jpg
流石の狩野派ヽ(・∀・)ノ この襖図は京都・天球院の所蔵品です。

生き物の様にうねる梅の木を描いたかと思えば、何処と無くやる気の感じられない龍虎を描いた屏風も(;´∀`)
「龍虎図屏風」
奇想-狩野山雪2.jpg


白隠慧鶴(はくいんえかく)は本業は絵師ではなく禅僧なのですが、仏の教えを文字が判らない者にも伝えられる様に多くの禅画を描いています。
「隻手」
奇想-白隠慧鶴3.jpg
白隠が考案した禅公案の一つで「両手で打てば音は鳴るが、片手(隻手)ではどんな音がするか」という意味の禅画。


個人的に気に入ったのは「すたすた坊主図」
奇想-白隠慧鶴1.jpg
願人坊主」とは本物の僧ではなく、坊主の格好をした大道芸人で、依頼者の代わりに神仏に願掛けしたり、水垢離をしたり、参拝に行ったりしていた人たちの総称です。
その内「すたすた坊主」と呼ばれていた人たちは、年末近くになるとほぼ全裸に近い格好で頭と腰に縄を巻き、扇子や錫杖を持って踊る事を生業にしていたとか。

この絵では布袋様がすたすた坊主となっており、左側に書かれた文章には
「来た来たまた来た いつも参らぬさひさひ参らぬ すたすた坊主夕部(ゆんべ)も三百はりこんだ それからはだかの代参り…」
とか書かれているそうで。


個人的には白隠慧鶴なら「百寿福禄寿」を見たかったのですが、今回の展示会では残念ながら出品されないようです。
奇想-白隠慧鶴2.jpg


鈴木基一のコーナーでは「夏秋渓流図屏風」に感動し
奇想-鈴木其一1.jpg


歌川国芳のコーナーでは金龍山浅草寺に奉納された絵馬「一ツ家(絵馬)」を見て、月岡芳年の「奥州安達が原ひとつ家の図」とは少し内容が違うんだな、と思ったり。
奇想-歌川国芳1.jpg



過去に見た事が有る作品が多い展覧会でしたが、もう一度見たかった作品や、初出品の展示もそれなりにあって、なかなか楽しめた特別展でした。
アコースティックガイドが小林薫さんだったので、ちょっとした「美の巨人たち」気分も味わえましたし(*´ω`*)



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middrinn

そらそら様と言えば、この応挙風の仔犬ですね(〃'∇'〃)
先月末発売の辻惟雄&山下裕二『血と笑いとエロスの絵師
岩佐又兵衛』新潮社とんぼの本の紹介、てゆーか、宣伝
記事が芸新2月号に出ていて、「辻惟雄氏の『奇想の系譜』
ではトップバッターとして、2章分の紙幅をとって取り上げ
られているにもかかわらず、その認知度では若冲、蕭白らに
かなりの遅れをとっている又兵衛。」という書き出しなん
ですが、岩佐又兵衛、そんなに知られてませんかね(@_@;)
by middrinn (2019-02-18 20:28) 

そらそら

応挙風の仔犬、可愛いですよね(*´ω`*)
(尤も応挙の仔犬の画風は応挙オリジナルではなく、他絵師の影響らしいのですが)
岩佐又兵衛は私は6年前にトーハクで開催された特別展「京都―洛中洛外図と障壁画の美」で出品された洛中洛外図屏風(舟木本)で知りましたが、今回の奇想の系譜8人の中ではもしかしたら一番知られていない…かも??
細かい描写は若冲にも劣らないと思うのですが、描いている者が万人受けしないような内容だから?なのでしょうか。
by そらそら (2019-02-19 07:34) 

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